社会人に求められる力として、『社会人基礎力』や『学士力』に注目の集まる昨今、情報教育も変化してきました。
特に大学では、情報の収集から分析、整理、表現、情報運用まで、社会で求められるスキルが実践的に学べる『情報活用力』を初年次教育に取り入れる大学が増えています。
今回、この情報活用力を担当していただいている講師の方に、なぜ大学教育において情報活用力が重要か、学生の反応はどうか等について、インタビューさせていただきました。
西野至(にしのいたる)さん
【プロフィール】
民間企業勤務(ソフトウェア開発、コンサルタント)の後、大学助手、専門学校・予備校講師などを経験。
岡本雅子(おかもとまさこ)さん
【プロフィール】
民間企業でSEとして勤務。
京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻博士後期課程に在学中(情報フルーエンシー教育講座喜多研究室に所属)。
【西野】
グループワークで、学生がディスカッションしながら課題に取り組むスタイルは、従来の『講義』という形の一方向の授業とは別の学生との関わり方ができるのが面白いですね。
今の学生は、レポートなどの与えられた課題は要領よくできるんですが、自分で課題を見つけるとなると、とたんにできなくなるんです。
『情報活用力』の授業を通して、蓄積した知識をどう活用するのか学ぶいい機会になると思います。
【岡本】
『情報活用力』は、大学での学び方を身につける授業だと思います。
知識ではなく底辺になる基礎力(=考える力)を養うことで、その後の大学での学びや研究、就職に役立つ力になります。
学生を見ていると、それぞれに習得する能力が違うのが見て取れるので、資格の取得などのように、合格か否か、0か1かでは測れないものを教えるということに対するやりがいもありますね。
授業が終わった後に学生から「大学でどんな風に勉強したらいいかわかってきた!」と言われた時は、本当に嬉しかったです。
【西野】
世の中にあふれる情報量は、日々増加しています。特にインターネットの世界では、誰もが簡単に情報を入手したり発信したりすることができるよう技術が進歩しています。
このような現状の中で、人は情報の取捨選択ができるように判断力を磨かなければいけません。
大学教育では、在学中の勉強や研究をするにあたって、この『判断力』を鍛えることがなにより重要だと思います。
【岡本】
大学の情報リテラシーの授業というと『Office系ソフトの操作』について、というものが多かったですが、近年は高校の情報教育が盛んになり、ソフトの使い方に関してはすでに学習をしているので、さらにそれを活用する方法を身につけるべきなのでは、と考えています。
情報を活用する能力や、自己学習能力を身につけるために、PBL(Problem Based Learning)を取り入れた授業を行うことが、大学の情報教育においては重要ではないでしょうか?
【西野】
1人1人の学生にしっかりと目を行き届かせられる授業をしたいですね。
学生もリラックスして、授業を楽しんで受けられるような...。
『情報活用力』のような授業は、大学の勉強の仕方のベースとなるだけでなく、社会で役立つプロジェクトマネジメント力を身につけたり、情報環境の変化に対応する力になったりと様々な要素が混在しています。
なので、私なりの情報活用力を、これまでの私自身の経験を交えながら学生に伝えていきたいと思います。
まずは高校と大学での学びは違うということを知ってもらいたいですね。
【岡本】
大学で研究・勉強する上で身に付ける能力は、社会に出た後にも役立つもので、そういうトレーニングをするとしないでは大きな差となることを伝えるようにしています。
学生の『分かった!』という顔を見ることが好きなんです。私が担当をすることで、学生が自分の新たな能力を発見できるように、常に学生の視点を忘れないわかりやすい授業のできる講師を続けて行きたいと思っています。